30、君の中で死にたい*

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「どうしたの、杏樹」 「え?……いえ、その……」  下を向いてモジモジしている杏樹の姿に、ふっと笑みを漏らす。 「……今さら、恥ずかしくなったん?」 「だって……」  長い腕が伸びてベージュのカーディガンを剥ぎ取り、白いノースリーブブラウスから覗く、細くて華奢な二の腕に雅煕は顔を近づけ、キスを落とす。 「俺も、久しぶりで恥ずかしいし、緊張してる。さっきから手が震えて、ボタンが上手く外されへん……」        そう言いながら、杏樹のブラウスの、胸元のボタンを外す。上から二つ外すと、盛り上がった胸のせいで胸元は自然とはだけて、白い胸の谷間が露わになる。  もう一度、あの胸が拝めるならば死んでもいいとまで焦がれた二つの丘。許されるなら、この胸の谷間に溺れて窒息死を選びたい。少々強引に顔を近づけ、柔らかな肉に顔を埋める。  トクトクと響く心臓の音。さっきから、やたら荒々しいのは自分の息だ。興奮が止まらなくて、脳の血管はたぶんもうすぐ切れる。柔肉に唇を這わせ、強く吸い上げれば、腕の中の杏樹が声にならない悲鳴をあげ、身を捩った。 「痛かった?……ごめん」
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