31、盗聴大作戦

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『だって……何もなければ連絡するなってことでしょ?』 『そんなわけないやろ! 俺からは連絡でけへんねんで! おばあちゃんの電話番号しかわからへん上に、おばあちゃんからは二十万円で縁切り宣言されるし。俺が毎日どんな気分で……』 『……ごめんなさい……。おばあちゃまにダメって言われたら、逆らえなかった。わたしの家族、おばあちゃまだけだから……』  その会話を聞いて、晴久はうん? と思う。おばあちゃん? たしか、北川家の令嬢は、祖母・北川苑子がかつて四郎左衛門の婚約者候補だった縁で――  そういや北川家のご令嬢の名前はなんやったっけ? たしかフランス人の血が入ってるかなんかで、外国っぽい名前で―― 『それはもうええよ。こうして会いに来てくれたし……でもアンジュ……』  せや、アンジュ! 北川杏樹や! てことは―― 『でも……なんかあったから、来たんやろ?』 『うん……でも、絶対に他に漏らすなって言われてて……』 『大丈夫や、教えて』 『……あのね……お見合いして、結婚することになりそうなの』 『は?』  ビンゴやん。北川家のご令嬢やん、この子。……それが雅煕に会いに来た? 
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