32、大きな勘違い

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「わ、わ、わかりました! 今日のお嬢さんのことは――」 「ひとまず他言無用。問題のある女ではなくて、和泉家当主も承知してる間柄や。だが、万一、事が漏れた場合は、お前のクビ一つじゃ済まんと思っとけ。ええな」  長身の高みから支配人の目を見下ろし、インテリヤクザ顔負けの迫力ですごんでから、颯爽とフロントを後にする。内ポケットから出したスマホを弾いて数コール。 「もしもーし。紗英(さえ)ちゃんでしゅか? パパでしゅよー。もうすぐおうちにかえりましゅからねー!」   その様子をフロントのカウンターの陰から覗いていた、新人ホテルウーマン、小川は思わず呟いた。 「社長……キモッ」
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