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「わ、わ、わかりました! 今日のお嬢さんのことは――」
「ひとまず他言無用。問題のある女ではなくて、和泉家当主も承知してる間柄や。だが、万一、事が漏れた場合は、お前のクビ一つじゃ済まんと思っとけ。ええな」
長身の高みから支配人の目を見下ろし、インテリヤクザ顔負けの迫力ですごんでから、颯爽とフロントを後にする。内ポケットから出したスマホを弾いて数コール。
「もしもーし。紗英ちゃんでしゅか? パパでしゅよー。もうすぐおうちにかえりましゅからねー!」
その様子をフロントのカウンターの陰から覗いていた、新人ホテルウーマン、小川は思わず呟いた。
「社長……キモッ」
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