3、オテル・ド・ロンシャン

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 少しばかり猫背気味なのは、背が高いせいか。意外としっかりした体つきをして、足も長いのだが、いかんせん、服装がダサすぎる。   桜井はしばらく考えてから、受付に何か言い、杏樹のケガをした膝を示す。受付の女性が少し身を乗り出し、それからうんうんと頷いた。 「……とりあえず、今は僕の部屋で荷物を預かって、タイツだけでも着替えさせてもらうことにしたわ。宿は、大使館に行ってから、改めて探そう」  杏樹は自分の破れた膝を見下ろす。たしかに、こんな膝でこれ以上で歩くのは恥ずかしい。   レセプションでカードキーを受け取り、杏樹のスーツケースを押してエレベーターに向かう。――杏樹が何気なく振り返ると、レセプションの女性が意味深に肩を竦めて見せた。        桜井の部屋は四階で、かなり広い部屋だった。窓は中庭に面していて、眺めはそれほどはよくないけれど、パリらしい風景と言えなくもない。
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