37、東京サクラホテル

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「杏樹は、パリで出会ったダサ眼鏡に逢いに行ったから、あたしが代わりに来たんです」 「ええ? ……だ、ダサ眼鏡に?」  美奈子から全身全霊の媚びを含んだ視線を向けられて、雅煕が何が起きたのか理解できずに固まっていると、内ポケットのスマホが黒電話のような音を立てた。  ジリリリリリン! 「えらい、すいません、マナーモードにするの忘れて……晴久叔父さん? こんな時になに?」  スマホの向こうから、晴久の焦った声が飛んできて、雅煕は耳を疑う。 『北川家のご令嬢がなんでかうちのホテルにおんねん! どうもおかしいよって、これから確保に向かう』
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