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宿帳の記載は山本勇樹。昨日から一人で二泊の予約で、住所は千葉。
「一人で予約のお客様ですが、室内にもう一人いるようです」
「なんやて。そいつが怪しいな」
「しかも関西弁でした」
「……関西弁やから怪しいって失礼な!」
晴久が支配人に突っ込んでいると、十二階を点検してきたドアマンが戻って報告した。
「廊下には、それらしき女性はいません。念のために十三階と、十一階も見ましたが――」
「やばいな、室内に連れ込まれたか……一番怪しいのが、さっきの1203号室や」
部屋番号を聞いたフロント係が言う。
「その部屋、昨夜はデリヘルか何かを呼んだようです。となりの部屋から声がうるさいという苦情が――」
昨夜宿直だった男の証言を聞いて、晴久の眉間に皺が刻まれる。――その手の男となると、かなりまずい。
「とりあえず、この部屋に突入するぞ。理由は――そうやな、さっきのお詫びに酒の差し入れですとか、なんでもいい。一刻を争う」
「はい!」
支配人に酒を用意させる間、ジリジリと待つ晴久の、スマホがビビビと揺れる。
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