40、美奈子の始末

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 手を繋いで二人が近づいていくと、気づいた四郎左衛門が微かに口角を上げる。 「戻ったか」 「はい。……こちらが北川杏樹嬢。杏樹、これが僕の祖父の、和泉四郎左衛門です」 「北川杏樹です。本日はお茶事に遅刻して、失礼いたしました。よろしくお願いします」    丁寧に頭を下げる杏樹に、四郎左衛門が頷く。それから礼法通り、(つくば)って畏まり、銅鑼の音を聞くので、二人もそれに倣う。最後の一点の銅鑼は打たず、苑子が迎えに出てきた。  苑子も、すでに杏樹の無事と二人の到着は聞かされていただろう。それでも、祖母は杏樹の姿を見て露骨にホッとした表情になる。だが、やはり何も言わず、礼法通り無言で挨拶を交わした。    後座からという変則的な形ではあるが、予定通りに茶事を終え、正式に婚約へと進めることが確認された。      そして――  和泉家の嫁とりを邪魔しようとした美奈子は、インドに展開するサクラホテル・チェーンの、デリー・サクラ・インターナショナル・ホテルに日本人スタッフとして送られることになった。 「インド……英語は通じそうよね。でも、美奈ちゃん英語も苦手よね?」 
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