40、美奈子の始末

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「苦手だけどしょうがないじゃん! せめて日本語の通じるところにしてください、って言ったら、じゃあ、マグロ漁船って言われたから……」 「マグロよりはカレーの方がマシよね」   「だから、今から死ぬ気で英語勉強しないとだから、ちょっと出てってくれる? それでなくても、東京サクラホテルで地獄の研修受けさせられて、今、死にそうだから!」    京都土産の阿闍梨(あじゃり)餅を持ってきただけなので、杏樹は大人しく退散しようと背を向ける。すると―― 「あ、あの……」  呼び止められ、杏樹が振り返る。 「あ、あやまってすむことじゃないけど、悪かったわ……」  「……あ、うん。無事だったからまあ……」   「ずっと杏樹のことが嫌いで……羨んでばっかりだったけど、杏樹の持ってるものを欲しがる癖はやめようと思うの。それは、自分をもっとミジメにするだけだって気づいた……」 「……美奈ちゃん……」  美奈子の意外な告白に、杏樹がまじまじと見つめると、美奈子はきまり悪そうに視線を逸らす。
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