5、お礼に処女をもらってください!

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「それは――とは違うの?」 「これから、になるのかなって――思ってたんだけど」    「そうなんや……でも、他の女がいた」  杏樹は意を決して言った。   「イトコだったんです」 「イトコ?」 「なぜか、イトコがいて。スペインに行くって言ってたのに、なぜかパリにいるなんて、おかしいですよね? しかも、健司には、わたしは来ないってウソついたんです。健司もアッサリ騙されてちゃって――」  杏樹の説明に、桜井は首を傾げる。   「そのイトコの無駄な行動力も、アッサリ騙される男の思考回路も、僕には理解不能や」 「美奈ちゃんはわたしのことがとにかく大っ嫌いだから――」  バスは凱旋門を周回するロータリーのところで、帰宅ラッシュの渋滞に巻き込まれてしまう。放射状になった道路からそれぞれ車が流入するのである。混まないわけがなかった。遅々として進まないバスの中で、桜井が言う。
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