2325人が本棚に入れています
本棚に追加
/337ページ
「騙された彼氏はただのアホやったで片付けるとしても、そのイトコは質悪すぎるな。泊まるつもりで行ってんのに、先回りして邪魔したんやったら、一歩間違えば大事故や。軽い嫌がらせや恋のさや当ての域を越えてる気がする」
「別に恨まれる覚えもないけど、子供のころからずっとだし……もう慣れましたけど」
桜井は杏樹の顔を見て、首を傾げた。
「イトコさんは美人? 君に似てんの?」
「え?……さあ、どうかな? イトコって言っても、本当はハトコなんですけど、面倒くさいからイトコって言ってて……美奈ちゃんは東洋系の顔って言うんですか? でも二重にしたい、ってプチ整形するって母親と揉めてました。二重にしたくらいで顔が変わるとは思えないんだけど……あと、すごい化粧品に凝ってて――」
「……なるほど。つまり、嫉妬か、天然美少女のイトコに」
「ええ? なんて言いました?」
最後の方が聞き取れなくて聞き返す杏樹に、桜井は軽く首を振る。
桜井はしばらく何か考えるように前方を睨んでいたが、杏樹を見て言った。
最初のコメントを投稿しよう!