6、そこまで煽って寝落ちですか!?

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「そうだ! その時計、おじいちゃまのと同じなんだ! どこかで見たって思って……」 「時計?」  桜井が左腕の時計を撫でる。 「スイスの時計やから、フランス人のおじいちゃんが持ってて不思議はないかも。僕もこれは祖父にもろてん。大学入学のお祝いに」   「へえ! 八角形が珍しいなって思って!」 「僕が今身に着けている中で、文句なく一番高いのはこれや」  そんな話をしていると、ウェイターがワインとエスカルゴを運んでくる。 「うわー、カタツムリだ!」 「この汁にパンをつけて食うと美味い。……じゃあ、カンパーイ!」 「カンパーイ!」       チンとグラスをぶつけて、杏樹は冷えた白を口に含む。 「ん~! 美味し! 喉渇いてた!」 「ハウスワインの割にまあまあやな」    そしてエスカルゴの身をフォークで繰り出しながら、杏樹が尋ねる。 「桜井さんは大阪の人?」 「もとは西宮――甲子園球場のあるところです」 「じゃあ、大阪?」 「あんな、東京の人はなんか誤解したはるけど、これだけは間違ってもらっては困る! 甲子園球場の所在地は兵庫県や! 大阪ちゃう!」 「兵庫県……」
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