6、そこまで煽って寝落ちですか!?

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「兵庫県の県庁所在地は神戸市や」  神戸と言われてもステーキの美味しいところだな、くらいしかわからない杏樹である。 「でも今は京都に住んでる。大学が京都やさかい」 「もしかして――」 「ああ、そうや、名刺を渡すってゆうてたな」      桜井が胸ポケットから名刺入れを出し、一枚杏樹に渡す。 『日本学術振興会特別研究員(DC2) 桜井雅煕』  下には、桜井の所属する研究室と、メールアドレスが。 「なんかすごそう!」 「一応、国からお金もらってるから。……年収240万。この三月までやけど」  「……四月からは……」 「……無職。……ポスドクの申請に落ちたから」       皿に残った汁にパンを浸して齧りながら桜井が言い、杏樹は桜井に顔を近づけて尋ねた。 「彼女とかは、いないんですか?」 「いそうに見える?」  杏樹が首を振ると、「君は正直すぎや」と苦笑した。 「じゃあ、わたしの処女をもらってもらっても――」  「まだ言ってんの! いい加減、本気にしてまうやろ!」 「わたしは本気です!……それとも、わたしの処女では、お礼になりませんか?」 「そういうことやないって!」 
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