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「いや、うけるか? 笑い事なんか?!」
きゃははと笑い出した杏樹を見て、桜井は気づく。
「え、君、酔ってる?――ワイン一杯で?」
その日、時差ボケと寝不足の杏樹は、白ワイン一杯で一気に酔っ払い、その後は陽気にメインとデザートを平らげると、桜井の腕に巻き付くようにして、千鳥足でなんとかホテルに戻った。
――別のホテルを探しに行くどころではない。
そのまま崩れるようにベッドで熟睡する杏樹を見下ろして、桜井は天を仰いだ。
あそこまで俺をさんざん煽っておいて、寝落ち?
――この女、天使じゃなくて、悪魔やろ……
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