7、お守り

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 やや低いしっとりした関西のイントネーションは、間違いなく昨日の桜井のもの。でも――      「……杏樹? 僕の顔になんかついてる?」 「ううん、むしろついてない――」    目が醒めたら、そこには醤油顔のイケメンが! ――なにこれ、何が起きたの? 「あの! わたし――」 「ああ、結局、この部屋に戻った途端にバタンキューで爆睡やったさかい、そのまま寝かせといた」 「え、あ、う……さ、桜井さん!?……ですよね?」    昨日のダサ眼鏡男と同一人物とはどうしても信じられず、思わず問いかける杏樹に、桜井が形のよい眉を寄せた。 「当たり前やん。僕以外の男がいたらヤバいやろ。安心してや、うちは先祖代々タイガースファンやから悪いことはせえへん。僕は隣のベッドで寝たし」 「た、タイガース? ええ? 何の話です?」  しかもイケメンは混乱の火に謎の油を注いでくる。杏樹はほとんどパニックになっていた。  ――ちょっと待って! ダサ眼鏡のオタクが、眼鏡取ったらイケメンだなんて、そんなの聞いてない!  
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