7、お守り

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「阪神タイガースのユニフォームは()()()()やろ、そやさかい、僕は()()()()なことはせえへんって――」    ――しかも、ものすっごいどうでもいい話をしだした! いったい、何なのこの人――!?       杏樹は大急ぎでシャワーを浴び、ドライヤーで髪を乾かして、ボルドーのニットトップスにブラウン系のタータンチェックのロングタイトスカートを合わせ、申し訳程度に化粧を済ませる。 『僕は九時過ぎにホテルを出る予定やから、先にレストランに降りるで。間に合うようやったら君もご飯食べに降りておいで』    杏樹がキーだけをひっつかんでロビーの横のレストランに向かう。中国人の団体がロビーに溢れ、聞き慣れない言葉が飛び交う。杏樹は人混みをすり抜けてレストランに入り、中を見回す。    紺やグレーのスーツを着たビジネスマン風の客の中に、太い黒縁の眼鏡をかけた桜井の姿をようやく見つけ、足早に近づく。 「桜井さん!」  桜井は腕時計を確認し、奥のビュッフェを顎で示す。 「取っておいで。まだ時間あるさかい」 「はい!」
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