7、お守り

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 杏樹は早速、ビュッフェを物色する。ヨーロッパのホテルらしく、パンの種類が豊富であった。クロワッサンとブリオッシュを選び、さまざまなフルーツとヨーグルトをとりわける。数種類のハム、ウォーマーの中のスクランブルエッグとグリルソーセージ。切り分け用のナイフが添えられた、何種類ものチーズからは、ブリーチーズらしい白カビチーズと、セミハードタイプのクリーミーハバティを削り取る。サーバーからグラスにオレンジジュースを注いでトレーに乗せ、席に戻る。桜井はトーストにバターを塗って食べていた。  テーブルの上のカトラリーを取って食べ始めると、ウェイターがコーヒーを配りに来た。杏樹は一杯目を、桜井はお替りを注いでもらう。   「うん、美味しい! クロワッサン久しぶり! トーストも美味しそうですね」 「バターが美味いからな。発酵バターって書いてある」    それから杏樹は桜井を上目遣いに見て、恐る恐る尋ねる。 「あの……わたし、昨夜の記憶があまりなくて……」     「せやろうと思ったわ」  桜井が黒縁眼鏡のブリッジを人差し指でクイと上げる。   「あの……やっぱりその……?」
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