11、やっぱり処女をもらってください!

2/7
前へ
/337ページ
次へ
「僕の研究分野は中世の中国やで? 会話はそこまで得意ではないけど……」 「もしかして、とんでもないエリート……?」 「年収240万で、四月から無職のエリートがどこにおんねん」  エレベーターの中でそんな話をして、チン、と四階について扉が開く。  この廊下をあと数歩で部屋に――          (もしかして、桜井さんも期待してるのかな? わ、わたしはその、初めてをあげるのはやぶさかじゃないけど。でも、その場合はどう振る舞うべき? どうしよう、どうしよう……)  意識し始めると、手足の動かし方さえわからなくなり、右手と右足が一緒に出てしまいそうになる。当然、ふらついてバランスを崩し、桜井が慌てて抱き留めて支える。 「杏樹? もしかして今夜も酔った?」 「ち、違います! 酔ってない! 酔ってないです!」 「でも、えらい顔も赤いし……」 「こ、これは! 酔ったわけじゃなくて!」    必死に否定するが、桜井は冷淡に指摘する。 「酔ってへん、言い出した人間は、たいてい酔っぱらってる。間違いない」 「違います! 顔が赤いのは、さ、さ、桜井さんが……好きだからです!」    
/337ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2325人が本棚に入れています
本棚に追加