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「ご、ごめん!」
それで我に返った二人は気まずそうに身体を離して、まずはコートを脱いで、クローゼットにしまう。桜井はスーツのジャケットも脱ぎ、鬱陶しそうにネクタイを外し、カフスボタンも外してサイドチェストの上に置き、眼鏡も外した。突如現れた醤油顔のイケメンに、杏樹の心臓がさらに跳ね上がる。
(やっぱり、眼鏡を外した時のイケメン度すごくない? というか、その眼鏡のデバフ効果が高すぎる!)
まさか、イケメンを隠すためにわざと眼鏡をしているのだろうか?
そんなことを考えながら、まじまじと見つめてしまう。
「……僕の顔になんかついてる? そんなジロジロ見られたら恥ずかしいやん」
「いえ、むしろ何もついてないから、見ているのですけど」
杏樹の答えにも桜井は首を傾げるだけだから、自分の素顔がイケメンである自覚がないのかもしれない。
桜井は杏樹の手を引いて、片方のベッドに並んで座る。
「あの……言っておくけど、僕も初めてなので……」
「じゃ、じゃあ、お互い頑張りましょう!」
杏樹の頓珍漢な返答も聞かず、桜井が杏樹を抱きしめる。
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