五章

1/38
前へ
/172ページ
次へ

五章

 翌朝、登校の支度をしている時だった。突然、玄関から来訪者を知らせるチャイムが鳴り響く。  こんな時間になんだろうと思いながら玄関モニターを確認。そこに映っていたのはスーツを身に纏った白髪男性、雫さんの使用人セバスさんだ。  慌てて玄関へ向かい扉を開ける。こちらの様子を見た後でセバスさんは丁寧なお辞儀をして「おはようございます、神代様」と挨拶をしてきた。年上に敬語を使われる経験が少ないせいで、僕は「え、あ、はい、おはよう、ございます」と言葉を詰まらせてしまう。 「あれ、僕、時間間違えましたか? 出発までまだ早いと思うのですが……」 「申し訳ありません。イレギュラーな出来事が発生致しまして……このような時間に参らせていただきました」 「イレギュラー……ですか?」 「詳しいお話はお嬢様からお話されるそうなので、どうぞ」
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加