一章

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「では、ホームルームを始めます。日直」 「起立、礼、着席」  担任の話を流して聞いていると、再び混沌が話しかけてきた。  ――本当は妬いているのではないか? 恐れているのではないか?  え、何だって?  ――和樹と咲凛が交際する事にだ。そうなれば、お前は孤立する。二人の間で邪魔者と化す。  ……仮に。百歩譲ってそうだとしても、友達なら喜んであげるべきだろ。  ――簡単に割りきれるものか。気を遣われる事も増えるだろう。内緒事も増えるだろう。それを察せないお前ではあるまい。 「……では一限目は現国だ。前回の続き、教科書百二十八ページを開け」  ――お前と私は運命共同体だ。余計なストレスを抱える前に、くだらない友情ごっこなど――。  授業中は黙っておく決まりだろ。口を開くな。  ――ああ、分かった。しばらくは眠るとしよう。  ……なんなんだよ、クソッ。僕は心の中で舌打ちをしてみせた。
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