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「では、ホームルームを始めます。日直」
「起立、礼、着席」
担任の話を流して聞いていると、再び混沌が話しかけてきた。
――本当は妬いているのではないか? 恐れているのではないか?
え、何だって?
――和樹と咲凛が交際する事にだ。そうなれば、お前は孤立する。二人の間で邪魔者と化す。
……仮に。百歩譲ってそうだとしても、友達なら喜んであげるべきだろ。
――簡単に割りきれるものか。気を遣われる事も増えるだろう。内緒事も増えるだろう。それを察せないお前ではあるまい。
「……では一限目は現国だ。前回の続き、教科書百二十八ページを開け」
――お前と私は運命共同体だ。余計なストレスを抱える前に、くだらない友情ごっこなど――。
授業中は黙っておく決まりだろ。口を開くな。
――ああ、分かった。しばらくは眠るとしよう。
……なんなんだよ、クソッ。僕は心の中で舌打ちをしてみせた。
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