一章

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 混沌は僕が悩むと、よく二択を迫ってきた。成りたいのは、強者か弱者か。選ぶのは、現在か未来か。食べたいのは、ライスかパンか。  奴からすれば、数多い選択肢を明瞭かつ二分化する事によって思考を整頓させているらしい。  だったら、それに倣って二択としよう。和樹や咲凛との友人関係を断つか、断たないか。 「なぁ伊織。今日も一緒に学食行くだろ? A定食が売り切れる前に四限終わったらダッシュな?」  授業中だと言うのに、前席の和樹がコソコソと話しかけてくる。 「まだ一限目始まったばかりだろ……分かった、付き合うから前向きなよ」 「よしっ」  僕はこのネガティブで歪んだ性格を直したい。その為に、二人の友達は必要不可欠だ。関係を断つなど、ありえない。
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