一章

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 急ブレーキをかけるつもりだったが、ままならず盛大に尻もちをついてしまった。その拍子に胸ポケットの小銭が床に散らばり、惨事となる。 「っててて……! す、すいませ……」  謝ろうと目線を上げ、僕は硬直した。なんと前に立っていた人物は――。 「……ままま、真白……先輩……!?」  動揺を隠せない僕の身体が、次の瞬間ふわりと浮かぶ。 「貴様ッ! どういうつもりだッ!」  真白親衛隊である近衛先輩が、丸太のような腕で僕の胸ぐらを掴み持ち上げている事に気付く。  ――これはまた、とんでもない状況だ。  呑気なこと言ってないで、助けてくれ混沌! い、息が……苦し……!  ――手を下すまでもない。来たぞ。
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