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「いや、あの、これは……」
二人の手を振り払い、僕は腕を隠す。
「ブレスレットはこちらで没収、下校時刻までに反省文を書き生徒指導室へ提出してください」
岸先輩の容赦ない言葉に、狼狽を隠せない。
「違うんです、これは……その……」
「男子が言い訳などするな! 見苦しい!」
近衛先輩が激昂する。だが言う事をきく訳にはいかない。何故なら、これは。
「形見……のような、もので……すいません、勘弁してもらえませんか。お願いします」
僕は姿勢を正して頭を下げる。所謂、土下座だ。
「貴方一人だけ特別扱いを許せと? 無理ですね」
「心配せんでも捨てやせん。卒業する頃に返してやるわい」
「お前ら、いい加減に……!」
和樹が怒りで声を震わせる。事態が次々と悪い方向へ進む中――。
「待ちなさい」
真白先輩が、我々の間に立ちはだかった。
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