一章

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「いや、あの、これは……」  二人の手を振り払い、僕は腕を隠す。 「ブレスレットはこちらで没収、下校時刻までに反省文を書き生徒指導室へ提出してください」  岸先輩の容赦ない言葉に、狼狽を隠せない。 「違うんです、これは……その……」 「男子が言い訳などするな! 見苦しい!」  近衛先輩が激昂する。だが言う事をきく訳にはいかない。何故なら、これは。 「形見……のような、もので……すいません、勘弁してもらえませんか。お願いします」  僕は姿勢を正して頭を下げる。所謂、土下座だ。 「貴方一人だけ特別扱いを許せと? 無理ですね」 「心配せんでも捨てやせん。卒業する頃に返してやるわい」 「お前ら、いい加減に……!」  和樹が怒りで声を震わせる。事態が次々と悪い方向へ進む中――。 「待ちなさい」  真白先輩が、我々の間に立ちはだかった。
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