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食堂前で騒動を起こしたせいか、気がつけば周囲に人だかりが出来ている。それを見渡しながら、真白先輩は「あらあら」と声をあげた。
「ちょっと大変な事になっているわね……近衛君、岸君。後は任せていいかしら」
「「承知しました!」」
二人の声が揃う。真白先輩は再び僕と和樹へ目線を向け、尋ねてくる。
「良かったら、一緒に食事でもどう? 気分を害させたお詫びに、代金は私が負担します」
正直、僕が原因の発端なのでそこまでしてもらう必要もない。けれど奢りと聞いて和樹は「マジで? ラッキー!」などと言って喜ぶ。
「タダで飯を食わせてくれるっつってんのに、断る理由なんかないだろ」
「いや、でもさ……」
どうすべきか悩んでいると、真白先輩が近寄ってきて耳元で囁く。
「私、貴方に興味があるの」
鼻孔くすぐる甘い香りも相まって、僕はただ頷く事しか出来なかった。
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