一章

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 混沌は今のように勝手に喋り出し、主人である僕に対しても自分の意見を言ってくる。生意気な存在だが、唯一の相談役でもあるので仕方なく置いてやっていた。  ――随分な言い草じゃないか。  分かった、悪かったよ。僕はスマホの電源を消し、枕元へ放る。  ――珍しく素直だな、いつもそうであれ。  ノイズキャンセリングされたイヤホンを装着したまま、目を閉じる。そうしなければ、階下の雑音が聞こえてしまうから。
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