一章

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「オッス、伊織(いおり)。朝っぱらから疲れた顔してんなぁ」  机に鞄を置いたのを見計らって、前の席に座る和樹(かずき)が声を掛けてきた。 「寝坊して、おばトンを通ってきたんだよ」 「……マジ? じゃあトラウマ克服したのか?」 「仕方なくだって。そもそも和樹が、あんな動画を送ってくるから」 「ヤバいだろ、アレ。一部では映画やドラマのPV用に作られたとか言われてるけど、だったら運営が動画削除なんてしないだろうし」 「あれは、リアルな殺人だよ」  はっきり断言する僕に、和樹は微妙な表情をしてみせた。
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