Chapter.Ⅰ

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  「アキ姉ちゃんがお嫁にいって淋しくならないように、おれがずっとお前の傍にいるから…泣くなよ?」  ──10も年の離れた姉が、身重の体を揺すって結婚相手の家へ引っ越して行くその車を見送りながら。  肩を並べて立っていた、幼馴染みであり、同い年の村上楓馬(むらかみ ふうま)の言葉を、芦田(あしだ) (まこと)は涙で湿った長い睫毛を瞬かせて聞いていた。 .
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