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「……ははっ、あいつ、不感症なんじゃね?」
好さに極まり、ぐったりとベッドに横たわる誠を見下ろしていたA男は、汗で額に貼りついた前髪を搔き上げながら面白そうに笑い、何の反応も示さない楓馬を揶揄する言葉を口にした。
「……」
それは恐らく、楓馬がノーマルな恋愛を好み、ノンケだからなのだろうと、誠は思うけれど。
でも…だからといって。
まるっきり興味を示しもせず、呆然と立ち尽くし、人形のようにただ二人のセックスを見ているだけの楓馬をチラ見した誠は胸に覚えた鈍い痛みをため息と共に吐き出すと、
「いいから…もう一回、しよ?」
と言って、隣で小休止していたA男の体に細腕を絡みつかせ、享楽の世界へ再び堕ちて行ったのだった……
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