鳥居の先

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「全然眠れなかった……」 少しウトウトはしたが、いつものような熟睡は出来ていない。 学校が終わったらそのまま行こうと決めて家を出る。 一日が長く感じたが、チャイムがなると同時に学校を出て山へと急ぐ。 「着いたけど、居るかな」 「ここですよ」 昨日と同じところに男性がいたが、展望台で写真を撮っている人はこちらに気付いていない。 しーっと口に指を当てているので今は喋らない方が良いのだろう。 暫くして誰もいなくなったところで手招きされたのだが、この木の間に入れるのだろうか? 木には触れたんだから入れるだろうと足を踏み入れると、今まで聞こえていた音がピタッと無くなる。 風も葉の音も何も聞こえず、暑くも寒くもなくかなり違和感を感じる。 「よく入れましたね」 「普通の木の間だし……」 「そうなんですが……君、お守りかなにか持ってます?」 「ああ、爺ちゃんが持たせてくれたお守りだけど。かなり古い感じの……」 「ああ、それで……。後から見せてください。さぁ、行きましょうか」 行きましょうかと言われても、道がないのにどうやって。 昨日は変な橋が見えたが、今いるのは山側。 橋側では無い。
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