鳥居の先

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「祖先とかそう言うのは全く知らない。でも、前に住んでた家は結構古かったよ。住宅地に引っ越したのも二年前だし」 「お姉さんがいるでしょう?」 なんで知ってるんだよ! 「桃真君から桃と少し甘酸っぱい匂いがするので女性だろうと」 「二つ歳上の李奈って姉がいるけど」 「ほぉ、(すもも)と桃ですか」 「なんか関係あるの?」 「桃も李も同じバラ科ですし、桃ですから。それと、御先祖の方のお名前って分かりますか?真という字が使われているかと」 確かにうちの家系は何をとち狂ったのか、長男には真という字を付ける。 俺と姉はたまたま同じ季節に生まれて、李や桃の花の咲く時に生まれたからと単純につけられた気がするが。 「爺ちゃんが一真(いっしん)で親父は真吾(しんご)。それ以外は知らない」 「家系図があればわかりやすいのでしょうが、ここがまだ村の時はこの山の山頂にも人は来れたのです。昔は旅をする人々か山越えをして他の土地へ行き来したりしてましてねぇ、この山頂は庵として使われていました」
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