鳥居の先

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「ただいま」 「桃真、どこに行ってたの?もう夕方よ?」 「滝の所行ってた」 「橋まで?」 「うん。昔聞いた婆ちゃん達の話思い出して行ってみたんだけど、結構人いたよ」 「今は観光客の人も多くなってきてるからね。昔は静かなところだったんだけど……」 ご飯前にお風呂に入ってと言われたのでお風呂に入り、もう出来たかな?とダイニングに行くと、ど真ん中に恥ずかしげもなくケーキ! しかもチョコプレートには入学おめでとうの文字。 高校の入学式でケーキ出すか? 恥ずかしいなと思いつつ席に着くと、祖父母からお祝いと小さな箱のプレゼント。 「ありがとう」 箱を開けると前に欲しいと言っていた財布。 確か姉に見せたはずだったんだが…… 「私からはこれ」 ピンクの袋に赤いリボンがちょっと女の子っぽくて引いたが、中身は普通に靴。 「通学用ね」 「うん」 サイズは閉まってあった靴でも持っていったのだろう。いつものメーカーの靴だったので大丈夫そう……と思っていたら、父からもお祝いだと封筒を渡される。 「え?こんなに?」 「大事に使えよ」 「ありがとう。爺ちゃんも婆ちゃんも」 「私はー?」 「ありがとう?」 「もー!」と言いつつ、姉はケーキに釘付け。 まずは飯を食え飯を! 夕飯は大鉢に煮物と焼き魚、ご飯に味噌汁にお浸しが定番なのだが、今日は唐揚げとポテトサラダが追加である。 最近祖父母がお肉はあまり……と言っていたので大丈夫なのかな?と思ったが、少しずつ食べると言うので取り皿にとって渡す。 あれ? 俺の祝いなのになんで取り分けてるんだ? 姉を見ると、あとからケーキ食べれるのか?と言うくらい食欲が凄い。
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