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「静流はねぇ、面白いもの作るんだよ。ねぇあれ持って来てる?」
土曜日の放課後、あずさ達が大輝の家に集合していた。
大輝の家はすごく大きな平屋の家で、農家をやってると言う。
庭が目いっぱい広くて、農作業車が置いてある建物の2階が大輝の部屋だ。
そこに大輝から初めて誘われ、こうして来てるわけだけど…
「あ、持って来てるよ。待ってて」
集まったメンバーの中に静流がいた。
大輝の広い部屋の中には、大輝、あずさ、美咲、雅之、タキ…そして静流。
要するに俺は、大輝の友達の集まりに呼ばれたのだった。
「大輝さぁ、省吾を気に入ってるんでしょ?ここに連れて来る位だもんね」
「うっさい!」
あずさにべーっと舌を出す大輝。なかなか怖い物知らずじゃん。
そうか、俺、大輝に気に入られたのか。
何か妙に照れくさくて、でも嬉しい。
でも……
いいのかな俺、本当にここに居ても。
学区外からの入学生だった俺が早くクラスに馴染むようにと、クラス委員の雅之が最初に声をかけてくれて。
それからいつも雅之と一緒にいるその友達の大輝とタキが、俺にも呼び捨てで良いと言ってくれて。色々話し掛けてくれるようになった。
俺は取り立てて目立つ所は無いし面白い人間では無いと思うけど、それでも気がついたら雅之達の誰かはいつも一緒にいてくれてる。
雅之がクラス委員だから、その友達である大輝達も気を使ってくれているだけかと思っていたんだけど。
こんな雅之達の友達が集まる大事な所に、本当に俺がいて良いんだろうか。
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