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「あずさから守ってもらったって本当なのね~省吾、懐かれたんだ」
さらっと怖いことを言ってしまうのは美咲だ。しかも笑顔。
「お前らうるさい」
大輝はちょっと不機嫌だ。
ふと横に目をやると静流がうさぎが描かれた可愛い手提げ袋から、何か四角いアクリルのケースを取り出してテーブルの上に置いていた。
…なんだろう、これ?
基盤が剥き出しの…何かの細かい配線がいっぱい?
「鳴らすよ」
その中の小さいスイッチに静流が手を触れる。
【piro.piro.piro.piroro…!】
な、なんだ?
「IC使った電子オルゴールですっ!私が作ったの!」
静流が得意気な笑顔で俺を見た。その顔に胸がどきんとする。
うわ、どうしよう俺…!今、顔熱くなってる…!
「可愛いでしょ『エリーゼの為に』だよ。今までで一番上手に作れたから、みんなに見てもらおうと思って」
可愛い…確かに、その笑顔がすごく…どうしよう俺…顔、赤くないかな。
「静流はこういうICとか使った小さい物が得意なんだよ。ハンダとか上手に使うしね。この間ラジオとかも作ってたよ。意外?」
タキがいう。俺はつい頷いてしまった。
静流は得意げにニコニコと笑っていた。
本当に、すごく可愛い女の子だった――
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