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ここは田舎だから、ちょっと気の利いた物を探そうとすると、バスで市の中心の街に行かなきゃならない。
実は俺、この辺りが苦手だ。ちょっと前まで住んでいた所に近くて、知ってる顔に会いそうな気がする。
今は、あんまり会いたくないな…
それでも、女の子が好きそうな店を何軒か廻ってみたけど、これだと思うものがなかなか無かった。
――女の子にプレゼントって、本当に難しいな…
いいかげん歩き回って疲れてきた時に、それを見つけた。
アクセサリー店のショーケースに並んでいた、ターコイズって宝石のイヤリング。ターコイズの水色が、静流にとても似合いそうな気がして…
買ってしまった。予算ぴったりの5千円。
親父がくれた1万円はとても使う気になれなかったので、自分が貯めていた小遣いを全部はたいた。
俺にとってはものすごい大金。
でも、生まれて初めて他人にあげるプレゼントは、ちょっと楽しみでもあった。
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