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「おはよ」
月曜日の朝、また玄関を開けたら大輝が立っていた。
土曜日の事があったので、俺はてっきり何か言われるのかと思い、つい身構える。ところが
「ガッコいこ」
大輝は普段通りの口調でそう言った。
「早く起きたから、何となく来てみたんだ」
大輝は本当に普通だった。土曜日の別れ際の不機嫌が嘘のようだ。
「省吾ん家来る途中で雅之に会ったよ。早いなと思ったら日直だから先に行くってさ」
「そうなんだ」
内心、かなり気になっていた。
土曜日の事。怒ってないのかな、大輝。
静流から、俺がもらってしまったオルゴール。
「大輝、あの…」
「おはよう、大輝!省吾!」
言いかけた俺の言葉が、あずさの元気な声にかき消される。
いつの間にか俺たちは、例の別れ道の所に来てしまっていた。
「おはよう、あずさ。美咲と静流もおはよう」
又、3人が一緒にいた。大輝は「おす」と短く答えただけだ。
「また省吾を迎えにいってたの?ああ、そうか!」
あずさ?
「大輝、照れくさいんでしょ?土曜日、散々いじけてたモンね~!ちゃんと省吾に謝った?」
「うるさいって!省吾、行こう!」
大輝が小走りに走り出す。俺も慌ててその後を追いかけた。
ちらっと横目で静流を見ると、静流が俺に笑ったように見えたけど…
違うかも知れないけど、そう思ってしまおう。
今日も朝から静流に会えたから、何か嬉しい。
なんだかすごく楽しい。
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