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次の週、俺は大輝たちに映画に誘われていた。
映画に行く事自体は構わないんだけど、問題なのは、それが静流の誕生祝いをかねての事だということ。
今日は5月5日。
いつ静流に、プレゼントを渡そうか。
「あ~、やっぱり混んでる」
当然といえば当然だけど。ゴールデンウィークまっただ中の映画館前は、大勢の人でごったがえしている。
しかもこれ、最新の話題作だし。
「どうするよ。次の入れ替えで入れない事はないけど、きっとみんなバラバラになるよ」
「仕方ないんでない?」
言い出した大輝に、タキが答える。
「この人数だしさ、とりあえずみんなバラバラでもいいから映画を見よう。で、見終わったらここに集合。それから何か買って大輝んちに行こうよ」
「あ、それでいいかも」
雅之も同意。
「とりあえずもたもたしてて立ち見は嫌だモンね」
あずさたちも同意した。
俺はポケットの中の小さい包みを気にしながら、やっぱり目は静流に行ってしまう。で、かならずそこで大輝とも視線が合うわけだ。
以前のように敵意剥き出しって事はないけど、やっぱり何か複雑だ…
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