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初めてその学校で静流を見つけた。
大きな瞳が印象的で。
髪はショートだけどふわっとしてて。
身長は同じくらいかな?俺、中1の頃チビだったから、多分同じ145cm位。
いきなり俺の方にニコニコ笑って歩いてくるので心底びびった。見たこと無いくらい可愛い女の子。
「大ちゃん」
彼女は俺と一緒に教室を出ようとしていたクラスメイトの長澤 大輝の前に来た。
「どうした静流?」
「ごめん、地学の教科書貸してくれる?忘れちゃった」
大輝が教室の中に戻る。
しずる…しずるっていうんだ。きれいな名前…
「ほら、ちゃんと返せよ。俺も午後に授業あるんだから」
「は〜い」
彼女は教科書を受け取り、振り返りざまに俺を見た。そして、にこっと笑った…ような気がする。
「省吾?」
つい、後姿に見惚れて立ち止まってしまった俺を、大輝が呼ぶ。俺ははっとして振り返った。
「手ぇ出すなよ、あれは俺んだから」
なっ!?
何言ってんだお前?
「静流は俺のだからな」
目が座ってるぞ大輝。
手を出すも何も、俺は彼女のフルネームすら知らないんだけど。第一、今初めて会ったんだし。
「ば~か!」
その大輝の頭をぺしっと平手で張る、俺達より頭一つ分大きい影。
クラス委員の太田 雅之だ。
「お前がバカな事ばっかり言うから、静流がみんなにからかわれるんだよ。あずさに言いつけるぞ」
「げっ、それかんべん!」
「ほら次、音楽室!お前日直だろーが!!」
雅之に尻を叩かれ、大輝が走り出した。
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