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所がそのまま5分も歩いた所で、俺はとんでもない状況に出くわした。
よりによって、仕事帰りの親父が通りかかってしまったのだ。
「げっ!」
俺は本当にこんな声を出してしまってた。
いきなり見覚えのある四駆が俺達の右脇に止まり、助手席側の窓が開く。親父…!!
「省吾」
俺を呼ぶ声に静流も振り返る。
「省吾、その子か?父ちゃんに紹介しろ!そこのおじょーちゃん、はじめまして~!!省吾の父親でーす!!木沙真治35才、独身でーす!」
お、親父~ィ!!!!!!
絶対、静流びっくりしてるっ!!どうしよう…!!
「はーい!」
え?静流?
静流は確かにびっくりはしていたけど、今、すごい満面の笑みってヤツで助手席側の窓に近づく。
「乃条静流です!はじめまして、省吾くんのお友達です!今日で13才になったばかりの独身でーすっ!!」
し、静流まで妙なノリで挨拶しちゃってるし。
親父がそのごつい顔をしまりなく豪快に崩す。
「そーか、静流ちゃんかー!気に入った!今度うちに遊びにおいでな!!オジサン待ってるから~!」
「はいっ!遠慮なく行かせて頂きますっ!!」
「じゃーな省吾!送り狼になるにはまだ早いぞっ!先に帰ってるからな~!!静流ちゃん、またね~!!」
そう言って親父はいきなり現れ、又いきなり去って行った。
おくりおおかみ?なんだそれは!?
「お父さん、気をつけてね~!」
静流がうちの四駆に手なんて振ってたりするし。
俺、何だかパニック起こしてた?なんかこの場で、一言もしゃべってないんだけど。
「し、静流…?」
やっと声が出せた。
まだ手を振ってる静流。俺の声に、んっ?と振り返る。
「省吾のお父さん、すごく素敵!!」
俺、絶対それ親父に教えない…
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