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「大輝っ!この大バカっ!!」
放課後、隣のクラスの瀬能あずさに大輝が教室から引っ張り出された。
俺が付き添う羽目になったのはなぜだろう。
さっき急に大輝に泣きつかれたのだ。とりあえず意味が分からなかったけど、その必死さにただならぬものを感じたので。
「わ~あずさっ!かんべんっ!」
「勘弁ならないわよっ!あんた又、静流の事で下らないケンカ売ってたんだって!?いい加減にしなさいよ…静流がからかわれて、又嫌な思いをするじゃない!!」
「売ってないよっ!」
大輝が泣きそう、どうやらこのあずさって子が大輝は本当に苦手みたいだ。すでに半べそ状態で逃げ回っている。
「やかましい!あんたのクラスの子に聞いたわっ!この~!」
「わ、待って!!」
見かねた俺はとうとうふたりの間に割って入った。俺が呼ばれた理由はこれか。
「俺、別に怒ってないから!ケンカ売られた覚えもないし」
「あんたは?」
大輝の為に振り上げた拳をとりあえず下げながら、彼女が俺の方を見た。
「木沙 省吾、その話に出てきたのは多分俺だから」
半べその大輝が、すかさず俺の後ろに隠れた。
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