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――翌日の学校。
俺は妙に疲れていた。
昨日、帰宅してから親父はなんか楽しそうだしハイテンションだし。
静流はいつ遊びに来るんだと無神経に聞いてくるし。
俺にもいろいろ都合ってものがあるんだ!!!
そして昼休み、あずさと美咲がいきなり教室にやってきた。
「省吾のお父さんてすごくかっこいいんだってェ!?今度、遊びにいっていいっ!?」
見ると、後ろからちゃんと静流も付いて来てるし…静流、あのなぁ…
「…クマ」
「え?」
「うちの親父、熊そっくりなのっ!見た目がもうそっくり!!別にかっこよくねーよ!!静流の目が悪いんだよ!!」
気がつけば、教室中の視線が俺に集中しちまっていた。
「省吾」
いつも本ばかり読んでるタキが、びっくりしたように顔を上げていた。
「お前、大きい声出せるんだ。初めて聞いた」
「うん」
大輝と雅之も驚いている。そういや、怒鳴ったのってかなり久しぶりかも…
「面白いわ」
あずさがにやっと笑った。
あ、嫌な予感しかしない。
「早速今度の土曜日、噂のおじさまに会いに行こうじゃなーい。いいわね、省吾?」
いや、いいわねって…そんな、いきなり…
「あきらめろ」
俺の肩をぽんと叩く大輝。
「あいつ、言い出したらきかねぇから。あいつの今の理想の男、ハリスン・ファードだし」
この間の映画の影響かっ!でも、それなら余計に止めろよ。俺の親父とハリスン・フォードじゃ、共通点見つける方が難しい。
「まぁ、俺達も行ってやるから心配すんなよ。友達じゃーん」
タキ、大輝…お前らも好奇心剥き出しだろーが。
ああ、もういいよ。
どうせなら全員で来ればいい。雅之も見張り役について来てくれよ。
親父さらしもんにしてやる。
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