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「気持ちはわかるんだけどさ、やりすぎなのよね」
学校からの帰り道、あずさがぽつりと話してくれた。
「大輝が静流を好きなのは勝手だけど、それを番犬みたいにあんなに吠えまくられてもね。実際それで静流がからかわれた事もあるし。まぁ、あたしが話をつけたけどさ」
どんな話をつけたのか、聞くのが怖い気がするが。
俺は少し離れていじけたように付いて来ている大輝を見た。
「木沙省吾くんて言ったっけ。家、こっち?」
「うん。あ、省吾でいいよ、俺の名前呼びにくいだろ?俺んちは桜庭町の方」
「あ、近いんだ。うちはその隣の松木だよ、大輝もね。えと、省吾でいいの?」
「うん」
「あたしは瀬能あずさだよ、あずさでいいからね」
知ってる。さっき大輝に泣きつかれた、あずさにぶっ飛ばされるって。
「じゃ省吾又明日ね。ほら大輝!遅いよ!」
別れ道であずさが大輝を呼ぶ。しぶしぶと大輝が近づいてきた。
「じゃあ大輝、又明日」
「ああ」
そっぽを向く大輝。さっきの事が恥ずかしいのかな。
そんなに気にしなくてもいいのに、俺は誰にも言わないよ。
もちろん、雅之たちにも。
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