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「あー!大輝、あんたどこから来たのよ?」
昨日二人と別れた道の所で、今度はあずさを含めた3人の女の子に会った。
あの静流もいる…
「おはよ省吾、なんだあんた省吾を迎え行ってたの?桜庭町まで?よく一人で起きられたわねー」
「そうだよ、行こうぜ省吾」
少し不機嫌そうに大輝が早足で歩き出した。
「あ、待ちなさいよ大輝!一緒に行こうよ」
それに合わせて女の子達も少し早足で歩き出す。静流が偶然俺の隣に並んだ。俺を見てにっこりとしてくれる。
なんかすごくどきどきする。
女の子をこんなに間近で見た事って無いんだけど。
「省吾」
あずさに呼ばれ振り返る。
「静流はもう知ってるよね、2階の3組で私と一緒。こっちは日野 美咲。省吾の隣の5組なの」
「よろしくね」
美咲と呼ばれた女の子はとても背が高かった。すでに160cmは超えていると思う。チビの俺はちょっと見上げる。
何だかすごくきれいなお姉さんって感じだ。とても同い年には思えない。
「木沙省吾だよ、大輝が迷惑掛けちゃった縁で昨日友達になった。ね?省吾」
「うん」
本当に大輝が敵わないというのがわかる気がする。すっかりあずさのペースだ。
「あずちゃん」
静流があずさの腕を引く。
「あずちゃん、木沙くん呼び捨て…いいの?」
「あ、いいのいいの!省吾から言ったんだもん」
昨日、殆ど初対面のはずの俺に気を使ったんだろうか。静流と眼が合う。
「うん、きさって言いにくいだろ?省吾でいいから」
「省吾…くん?」
「呼び捨てでいいよ」
何だか自然に口について出た。
「省吾…?」
あ、なんかちょっと照れくさい。でもいい感じだ。何か嬉しい…?
「じゃ、私も静流って呼んでね、省吾!」
その笑顔を見た俺は、すっかり嬉しくなっていた。
先を行く大輝の背中からは、なぜかどす黒い怒りのオーラが噴出していたような気がするけど…
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