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ーーーーいつからだろうか。
少しずつ、体力がおち、頭痛がする事が多くなってきた。初めは歳のせいか、風邪気味なのかと思っていたけれど、どうも違う。
涼平に内緒で受診した隣町の総合病院で、処方された薬を口に放り込みながら、私は、カレンダーを眺めた。
私には、もうあまり時間がない。残されていないのだ。
部屋の時計を見れば、朝の6時だ。夜勤明けの涼平が、日向子との情事を終え、帰ってくるまで、2時間ある。
私は、籠の中の青いインコの様子を見るため、窓際へと足を向けた。
籠の中の鳥は、いつものように、つぶらな瞳を向けることも、可愛らしい声で、鳴くこともない。小さな嘴から溢れた吐瀉物を眺めながら、もう二度と目を開けることのない、青いインコの頭を撫でてやる。
「やっと、此処から飛び立ったのね」
私は、小さな亡骸をそっと、白いハンカチに包むと、バルコニーで育てている、ニチニチソウのプランターの脇にそっと埋葬した。
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