麗しき青い鳥

7/14
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
カボチャを真水で洗い、タネをくり抜いて、レンジで、少しだけ温めてから、切り刻んでいく。  「馬鹿な女」 日向子は、涼平の職場で働く看護師の1人だ。  20代前半で、色白で、顔も所謂、美人に分類される。 したたかで、狡猾で、涼平に愛されていると勘違いしている女の1人だ。私が、気づいただけでも、涼平の女はあと数人はいる。主にマッチングアプリで出会った、身体と金だけの関係。 実家が、裕福で医者になる事以外は、自由奔放に育てられた涼平は、お金の使い方も女遊びも結婚当初から、激しかった。 日向子の分譲マンションの名義は、おそらく涼平だろう。たかだか、看護師ごときが一人でローンを組み、住めるような物件ではない。 カボチャに包丁の刃を入れて、ギリギリと左手で押さえつけながら、切り分けていく。 「人間の身体も切り刻めるのかしら?」 ふと、涼平の大事な右腕をまな板に置いたつもりで、私は包丁を動かしてみる。まず腕の肉を包丁で、上下に引いて筋肉の筋を切り裂いてから、骨が見えたら、左手で押さえつけながら、カボチャを切り分けるように、骨ごと断絶していく。 「ふふっ……いくら研いでも、包丁じゃ無理よね。チェーンソー位じゃなきゃね」 私は、茹で上がった、カボチャをすり潰しながら、かち割った、涼平の脳みそをイメージしてすり潰していく。 「脳みそいりのグラタン?不味そうね」 何度こうやって、涼平を殺す事を考えただろう。想像しただろうか。籠の中の名もなき青いインコが、首を傾げて、こちらを見ている。 「貴方と私は同じね。私は、涼平に飼われて、貴方は、私に飼われてる。抜け出すには、自分が死ぬか、相手を殺すか……なんてね」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!