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カボチャを真水で洗い、タネをくり抜いて、レンジで、少しだけ温めてから、切り刻んでいく。
「馬鹿な女」
日向子は、涼平の職場で働く看護師の1人だ。
20代前半で、色白で、顔も所謂、美人に分類される。
したたかで、狡猾で、涼平に愛されていると勘違いしている女の1人だ。私が、気づいただけでも、涼平の女はあと数人はいる。主にマッチングアプリで出会った、身体と金だけの関係。
実家が、裕福で医者になる事以外は、自由奔放に育てられた涼平は、お金の使い方も女遊びも結婚当初から、激しかった。
日向子の分譲マンションの名義は、おそらく涼平だろう。たかだか、看護師ごときが一人でローンを組み、住めるような物件ではない。
カボチャに包丁の刃を入れて、ギリギリと左手で押さえつけながら、切り分けていく。
「人間の身体も切り刻めるのかしら?」
ふと、涼平の大事な右腕をまな板に置いたつもりで、私は包丁を動かしてみる。まず腕の肉を包丁で、上下に引いて筋肉の筋を切り裂いてから、骨が見えたら、左手で押さえつけながら、カボチャを切り分けるように、骨ごと断絶していく。
「ふふっ……いくら研いでも、包丁じゃ無理よね。チェーンソー位じゃなきゃね」
私は、茹で上がった、カボチャをすり潰しながら、かち割った、涼平の脳みそをイメージしてすり潰していく。
「脳みそいりのグラタン?不味そうね」
何度こうやって、涼平を殺す事を考えただろう。想像しただろうか。籠の中の名もなき青いインコが、首を傾げて、こちらを見ている。
「貴方と私は同じね。私は、涼平に飼われて、貴方は、私に飼われてる。抜け出すには、自分が死ぬか、相手を殺すか……なんてね」
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