麗しき青い鳥

9/14
36人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
「あら、涼平さん、明日は、お休み?」 見れば、シャワーを浴び、仮眠を終え、かぼちゃグラタンを美味しそうに平らげてみせた、涼平が、ゴルフバッグを取り出している。そして、乾いた布に中性洗剤をつけながら、丁寧にクラブを磨いていく。 「あぁ、外科部長とゴルフなんだ。夜は、部長行きつけのラウンジに行くよ」 涼平は、申し訳なさそうに、肩をすくめる。 「気にしないで。部長からのお誘いなら、お付き合いしなきゃ失礼だわ」 「有難う、亜紀は、本当に理解が、あって助かるよ、さすが、僕の生涯を共にするパートナーだね」 「あら、嬉しい。涼平さんこそ、いつも、お仕事頑張ってくれて、本当に有難う。明日は雨が降るかもだから、上着は持っていってね、風邪を引いたら大変だから」 「分かったよ、ありがとう」 私は、洗い終わった洗濯物をカゴに入れて、バルコニーの扉を開ける。 洗濯をしても、まだ、こびりついている、シャルルの香水がまだ匂う、涼平のワイシャツをハンガーに掛けて干しながら、リビングに背を向けている涼平の後ろ姿を眺めた。 時折、スマホを気にしながら、ラインが来るたびにメッセージを返信している。 明日のゴルフは、部長ではなく、日向子とだろう。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!