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「あら、涼平さん、明日は、お休み?」
見れば、シャワーを浴び、仮眠を終え、かぼちゃグラタンを美味しそうに平らげてみせた、涼平が、ゴルフバッグを取り出している。そして、乾いた布に中性洗剤をつけながら、丁寧にクラブを磨いていく。
「あぁ、外科部長とゴルフなんだ。夜は、部長行きつけのラウンジに行くよ」
涼平は、申し訳なさそうに、肩をすくめる。
「気にしないで。部長からのお誘いなら、お付き合いしなきゃ失礼だわ」
「有難う、亜紀は、本当に理解が、あって助かるよ、さすが、僕の生涯を共にするパートナーだね」
「あら、嬉しい。涼平さんこそ、いつも、お仕事頑張ってくれて、本当に有難う。明日は雨が降るかもだから、上着は持っていってね、風邪を引いたら大変だから」
「分かったよ、ありがとう」
私は、洗い終わった洗濯物をカゴに入れて、バルコニーの扉を開ける。
洗濯をしても、まだ、こびりついている、シャルルの香水がまだ匂う、涼平のワイシャツをハンガーに掛けて干しながら、リビングに背を向けている涼平の後ろ姿を眺めた。
時折、スマホを気にしながら、ラインが来るたびにメッセージを返信している。
明日のゴルフは、部長ではなく、日向子とだろう。
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