麗しき青い鳥

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麗しき青い鳥

私の朝は、夫の涼平(りょうへい)の好きなカモミールティーの葉を入れて、ティーポットにお湯を注ぎ、蒸らす事から始まる。 その間に、窓辺で飼っている籠の中の、青いインコに餌を与え、水を変える。名前は付けていない。呼ぶのは私だけだから、必要がないのだ。 「おはよう、今日もいい子ね」 人差し指でインコの頭を撫でてやれば、つぶらな無垢な瞳をこちらに向けて、小さくピピッと鳴いた。 「貴方だけよ……分かってくれるのは」 私は、小さく呟いて籠の扉をしめると、カップを温める為のお湯を捨て、涼平が起きてくるのを見計らって、カモミールティーを注ぎ入れる。 「亜紀(あき)、おはよう」 玄関先のポストから、取り込んで、テーブルに置いておいた、経済新聞を眺めながら、涼平が、ダイニングチェアに腰掛けた。 テーブルには、私のたった一つの趣味といえる、バルコニーのプランターで育てた、ニチニチソウが、ガラスの小瓶に挿して飾られている。 「おはよう、今日もいい天気ね」 リビングの窓辺から見える景色は、目を細めるほどに、まばゆく、太陽からの白い閃光が降り注ぎ、空は、セルリアンブルーの絵の具を、撒き散らしたように、鮮やかで美しい。
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