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君が夢遊病だとわかったところで、ぼくにはどうすることもできなかった。
剃刀が、ぼくの頬から鼻の下を滑っていく。
上唇に、冷たい剃刀の刃が触れる。
額にイヤな汗が伝う。
君は剃刀を肌から離すたびに、いつものようにふうっと息を吐く。
そして、刃が顎から首に沿って下がっていく。
頸動脈の拍動が、剃刀に伝わる。
もし、今夢遊病が解けて君の身体がぼくにのしかかったら?
もし、今金縛りが解けてぼくの身体がガクッと動いたら?
ぼくの首は、ざっくり切り裂かれるのだ!
ぼくは、全身にじっとりと汗をかいていた。
でも、金縛りは解けることなく、ぼくの意識はそのまま睡眠状態に移行した。
こんな状況で眠れるなんて信じられないかもしれないが、それがナルコレプシーなんだ。
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