第六章 修羅の家

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 凛の子育ては困難を極めた。姑は紙おむつの使用を許さず、そうかといって布おむつの一枚でも洗濯してくれるわけでもなかった。  赤ちゃんも夜泣きどころではなく、寝ているとき以外ずっと泣いていて、私はいつも寝不足だった。  それでも夜になれば慎司の性処理にもつきあわなければならない。しかも月日が経つにつれて慎司の要求する行為は過激さを増していった。目をつぶって光留に抱かれてるんだと思い込もうとしても、光留なら絶対しないだろうなということばかりしてくるから、全然そんな気になれなくて困った。  ある日、中学時代の制服姿で行為させられた。そのあとで殴られるのを覚悟して意見してみた。  「慎司さん、もう少し普通にはできませんか」  「おまえさ、ちょっと勘違いしてるんじゃないの?」  なぜか鼻で笑われた。  「おまえなんてちょっと年が若いっていうだけで、全然色気がねえじゃねえか。化粧もしないし下着はいつもヨレヨレだし。おれだって普通におまえを抱きたいが、今のおまえには全然そそられねえんだよ」  私が化粧しなくてヨレヨレの下着しか持ってないのは生活の余裕がなくて買いたくても買えないからだ。これで家族四人分の衣食をまかなえと慎司には毎月十万円渡されていた。でも全然足りない。夫と義父母の必要なものを買っていたら、私のものを買うだけのお金が残らないのだ。
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