18 もっとキスを

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18 もっとキスを

 ミーティングがお開きになり、それぞれ自室へと戻る。ゾロゾロと部屋に戻っていく最中、榎井が「あっ、マリナちゃんのライブ配信始まった!」と言いながら部屋へ駆け上がっていった。その背中を見送りながら、良輔と「アイツまた深夜まで観てるぞ」と笑う。 「じゃ、俺は部屋戻ったら風呂に行こうかな」  と、良輔が別れを告げるのに、俺は良輔の腕を引いて一緒に部屋に入り込んだ。 「ん? どうした?」 「週末、バーベキューなんだぞ」  そのまま良輔をベッドの方に引っ張っていく。 「ああ、解ってるよ? まだ何か」 「解ってねーな」  ベッドに座らせ、チュッとキスすると、良輔は顔を赤くして「何だよ」と唇を曲げた。 「週末ヤれないじゃん」 「っ、おい」  良輔のスエットに手を掛けずらすと、性器を剥き出しにする。ツンツンとつつくと良輔は「っ!」と息を呑み込んだ。 「良輔ーっ。逢いたかったよー」 「バカかテメェはっ……」  チュッと先端にキスすると、ビクッと震える。むくりと反応する性器に、笑いながら舌を這わせた。 「っ、渡瀬……っ」 「良輔も、したかっただろ?」 「……」  良輔は黙っていたが、「したくなかった訳じゃない」と顔に書いてあった。 (素直じゃないなあ)  まだ熱を帯びていない性器をペロリと舐めあげ、口に含む。良輔がピクンと反応した。  付き合うようになって、互いに部屋を行き来する回数が増えた。あのたどたどしいキスの後、何度もキスするようになった。  だが、俺が望んでいたのは、高校生みたいな恋人同士じゃない。そりゃ、そういうのも悪くはないが。もっと、爛れた関係になりたいのだ。例えば、一日中ベッドで過ごして、長い時間交わっているような。  その目標も、この週末に限っては叶わないことが解っている。貴重な休暇を二日も使って、買い出しとバーベキューを行うのだ。酒が入って疲れきれば、セックスどころじゃない。 「っ、渡瀬……」  良輔の手が、ポンポンと頬を叩いた。(何だよ?)と思いながら顔を上げると、脇に手を突っ込まれヒョイと持ち上げられる。そのまま、膝の上に乗せられた。 「ちょっと、おい」 「お前、がっつき過ぎだ。いきなり咥えるヤツがいるか」 「んちょ……」  唇を重ねられ、ピクッと肩を揺らす。濡れた舌が絡み合う。 「ん、ふ……」  キスをしながら、良輔の腕が裾から入り込む。背中を撫でられ、ゾクッとする。良輔の手はイタズラに皮膚を滑って、やがてズボンのベルトを外すと下着の上からさわさわと性器を撫でてきた。 「っ、ん……」 「渡瀬……」  ちゅっと唇を離し、吐息と共に名前を呼ばれる。再び唇が重なり、舌をとろかすように動き回る。  下ではいつの間にか下着の中に手が入り込み、性器を剥き出しにされていた。良輔の性器が当たっているのは、わざとなのだろう。敏感な部分が触れ合い、ビクンと腰が揺れる。互いの熱が混ざり合い、離れがたい興奮に襲われる。 「あっ、はっ……、ん……。良輔、良輔っ……」  シャツを捲り上げ、欲しいのだと目線で訴えると、良輔は突起に吸い付いた。ちゅうっと吸われ、背中をしならせる。良輔の頭にしがみついて、快感に耐えた。 「あっ! あ!」  舌先が乳首を転がす。甘く噛まれ、乳輪をなぞられ、ぞくんと皮膚が粟立つ。  互いの性器を擦り合わせ、乳首を弄くられる。昂りがさざ波のように押し寄せ、俺は良輔の手の中に精液を放った。  ぬとっと、粘液を撫で付けられ、ゾクッと肩を揺らす。良輔の方はまだ達しておらず、固く反り立っていた。 「……渡瀬」  良輔が何か言いたげな顔をしながら、目を逸らす。 「何だよ?」 「……」  言い迷う良輔に、勃起したままの性器をつつけば、ビクッと跳ねながら観念したように顔を赤くする。 「……顔に、掛けたい」  思いがけない申し出に、思わずふはっと笑ってしまった。 「良いよ? そういうの、好きだし」 「……」  ベッドに座り、良輔のモノを眼前に突き出される。もうパンパンに膨れ上がっていたが、まだ達する気配はない。舌先を伸ばし先端を吸うと、良輔は荒い息を吐き出した。 「っ……く」  ぬと、と唾液を絡めてヌポヌポと先端を口で扱いてやると、ビクビクと性器が震えた。絶頂の合図に、唇を離す。どぴゅっと、白濁が弾け、顔にべっとりと精液がかかる。 「ん、っ……」 「っ、はぁ……、はぁ……渡瀬……」  良輔の指が塗りつけるように、頬に付いた精液を頬に撫で付ける。興奮した表情に、ドクドクと心臓が鳴った。  マーキングされているみたいだ。良輔の意外な一面に、俺も知らずに興奮する。  顔が近づき、唇を塞がれる。粘液と唾液が混ざって、ぬるぬると咥内を滑った。 「お前は、可愛いよ」 「うは、顔に掛けてそれ言う?」 「……」  気恥ずかしさに笑った俺に、良輔はバツの悪そうな顔をした。  軽く啄むようなキスを繰り返し、はだけた服を脱ぎ去っていく。一刻も早く、深く交わりたかった。 (本当に、お人好しなんだから)  客観的に見て、俺は可愛い方じゃない。勿論、美人でもない。良輔にとって、可愛く思えるのだ。それは情であり、親愛である。それが、じわじわと込み上げるような嬉しさになる。  容姿は十人並み以下。性格は可愛げがないのは解っている。愛されなかったのは、愛されるに値しない存在だからだ。それを可愛いというのだから、この男も大概だと思う。 (少しは、好きになったり、してくれたのかな)  キスをしたら好きになると言う。それなら、何回キスを繰り返したら、自分を好きになるのだろうか。今はどのくらい想ってくれているのだろうか。 「脚、開いて」  言いながら膝に手を掛け、良輔の手によって脚を開かされる。誰にされるより興奮してしまうのは、何故なのだろう。こんなこと、慣れっこだったハズなのに、良輔相手だと恥ずかしい。 「ふ……、ん……」  甘い吐息を吐き出し、良輔の手を見つめる。ローションに濡れた長い指が、アナルにゆっくりと埋まっていく。ぬぬ、と挿入される感覚に、ゾゾッと身体が震える。浅い部分を擦られる快感に、息を荒らげる。  快感を知っている身体が、勝手に受け入れやすいように筋肉を緩める。指が奥まで挿入され、円を描くようにくちゅくちゅと音を立てる。 「ふ、あっ……、ん……っ、気持ち、良い……」 「……っ、痛く、ないか?」 「ん、もっと、して……」  指が増やされ、中をぐちぐち弄くられる。腸壁を擦られ、ローションと腸液が混ざり合う卑猥な音がした。 「あっ、は――、は、んっ……!」  ビクッと背中を弓なりに反らせ、快感に身悶える。弄くられている俺に興奮しているのか、良輔の性器もピンと反り立って先端を濡らしている。 「……挿入れて、良輔」 「……渡瀬」  指をずるっと引き抜き、良輔は一度口づけをした。噛みつくようにキスされ、息が苦しくなる。  ふは、と息を吐いて唇を離し、赤い顔でアナルに先端を押し付ける。  犯すぞ、という顔をして、良輔が中に入ってきた。 「く、んっ……!」  慣れきったはずの行為なのに、まだ良輔の質量に慣れていない。引き連れたような筋肉の痛みを歯を食い縛って堪え、良輔の背に腕を回す。  ぐぐっと押し込めるように肉棒が挿入される。繋がった箇所は熱く、ドクドクと脈打っている。 「う、んっ、はっ……!!」  ずぷんっ、奥まで貫かれ、内側から競り上がるような感覚を味わった。肩で息をしながら、良輔にしがみつく。内腿がピクピクと痙攣した。 「っ、大丈夫、か?」 「う、んっ……、ちょっと、待って」  体勢を整え、受け入れやすくする。ゼェゼェと息を吐き出す俺に、良輔が心配そうな顔をした。 (ワンコみたいだな)  さしずめ大型犬と言ったところだ。可愛く想えてしまうから、良輔はズルい。 「良いよ……」 「ん」  合図と共に、良輔がゆっくりと動き出す。ナカを絡めとるように引き抜かれ、肉輪を拡げながらまた貫かれる。何度も何度も擦られて、快感の波に飲まれていく。  良輔の唇が首筋に触れる。身体中熱くて、溶けてしまいそうだ。 「あっ、あん……、あ……っ」 「渡瀬、っ……」  自然に顔が近づき、唇を合わせる。拒絶されず、甘いキスをくれたことに、言い知れない喜びが沸き上がった。 「あっ、あ……、良輔っ……、キス、もっとして……」 「ん……」  おねだりに、良輔は何度もキスを繰り返した。  やがて絶頂を迎え、二人精を吐き出しても――キスは、止められなかった。
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