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ゼミの先生と話をしてくるから先に食堂に行っててくれ、と夏目に言われて、明後日の事を思い、浮かれてニヤニヤで昼飯を食っている。
「何だよ、お前スゲェご機嫌だな」
同じ学部の奴がトレイを持って俺の前に座った。
「今日は夏目、一緒じゃねぇの?」
珍しいな、という顔で見た。
「ああ、今、先生と話してるから、多分もうすぐ来ると思う」
「ふうん、あ、そうそう久喜、お前脱毛に行ってんだって?」
「は?誰から聞いたんだよ」
「小島」
ったく、誰にも言うなって言って教えたのに信用ならねぇ奴だな。そう思いながら顔を顰めて
「誰にも言うなよ」
と釘を刺した。夏目に知られたくない。
「俺も興味あんだけどさ、どうなの?」
身を乗り出して訊いてきたコイツにニヤっとして答える。
「まぁ、俺もまだニ回しか行ってないんだけどな、明日三回目」
「で、どうなんだよ、てか、丸出しなんだろ?アソコ」
「そうだぜ、丸出し」
「施術すんの女?」
「俺が行ってる所は殆ど女だな。男もいるみたいだけど」
「勃ったりしねぇの?」
「勃つよ、フル勃起。でも大抵の男は勃つってwebで見たら書いてあったから別に気にしなかったぜ」
「ふぅん、俺も行ってみようかなー」
ラーメンを啜りながらコイツは少しニヤけて言った。
「お、紹介するぜ。そしたら紹介特典でお互いに一回ずつ無料になるから、行けよ」
笑ってコイツに教えた。
「え?マジで考えようかなぁ。お前、ケツの穴もやってんの?」
「おうよ、ケツの穴の時は四つん這いになるんだぜ」
「マジ!? やっぱ恥ずかしいなぁ〜」
「バッカ、俺だって目茶苦茶恥ずかしかったけど、向こうが普通にしてるから恥ずかしがってる方が変な感じになるから大丈夫だよ」
いつの間にかエラくコイツに脱毛を勧めてる俺がいた。
「あ、夏目」
コイツの声に振り向くと怖い顔した夏目が立っていた。
え?何か怒ってる?
少し乱暴にトレイをテーブルに置くと俺の隣りに、これまた乱暴に座った。
目の前の奴が、不穏な空気を察してラーメンを急いで掻きこむと「じゃあな」とチラリと夏目を見て席を立ち、そそくさと離れて行く。
「どうした? 何かあった?」
珍しく機嫌の悪そうな夏目に、顔を覗き込むようにして訊いた。ゼミの先生に何か言われたのかな?そう思ったけど、そんな事でこんな風になる夏目じゃないよな、と思い直す。
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